ニュース
NTT(持株)、NTTデータを完全子会社化へ 約2.3兆円規模
2025年5月8日 20:43
NTT(持株)は、NTTデータグループを完全子会社化することを正式に発表した。5月9日~6月19日の期間でNTTデータに対してTOB(株式公開買付け)を行い、買付規模は約2兆3712億円となる。
意思決定プロセスなど簡素化、機動的対応目指す
今回のNTTデータ完全子会社化により、北米市場のビジネス強化やAIサービスのほかデジタルエンジニアリング強化、データセンターの拡大や高度化を目指す。
加えて、各社の顧客基盤などを掛け合わせて大規模法人向け統合ソリューションの営業を強化する。また、自治体・中小営業についても、NTTデータのソフトウェアアセットを活用して自治体や中小企業への営業も強化する。研究開発では、IOWNなどを活用してデータセンターの高度化やLLMの「tsuzumi」によるAIの社会実装を進める。
さらに、企業ガバナンスの簡素化や重複機能を整理することで、意思決定の迅速化やリソース・アセットの最適化を実現する。社内でもAI活用を進め、ソフトウェア開発や法人営業での社内共通業務のDXを実現するという。
「大きな船に乗る」NTTデータ
NTT 島田明社長は親会社のNTT(持株)と子会社であるNTTデータがともに株式上場している「親子上場」のため、利益相反があるなど現状での課題を話す。また、事業への投資を行う際、両社の株主へ説明責任が起きるなどの難しさがあった。
島田氏は、今回のNTTデータグループの完全子会社化で、意思決定のプロセスを一元化。NTTデータグループがNTTグループのグローバルソリューション事業の中心的存在になる体制構築を目指す。また、急速な環境変化に対応できる機動的な成長投資でNTTデータグループを成長させ、ひいてはNTTグループ全体の成長を加速させるとした。
また、公正競争上の影響を問われた島田氏は、NTTデータが分離された1988年当時とは、規制について制度整備が進められていることを踏まえて、影響はないと見解を示した。
NTTデータグループ 佐々木裕社長は、グローバルでの事業発展実現に向けてNTT(持株)からの提案に応じたことを説明。データセンターの需要増に応えるべく、投資を進めた結果として財務状況の悪化を招いた経緯から「さらなるM&Aや投資は難しかった。今回のひとつの意義としては『より大きな船に乗る』ことで機動的かつ一定規模の投資をよりタイムリーにできるのではと感じた」と話した。