母親のスマホお引っ越しでiPhone SEの指紋認証から逃れられない！　は幻想と思い知った件

　iPhone 16eは最もコスパに優れたAppleのスマートフォンといっても過言ではありません。そんなiPhone 16eの基本から新機能まで解説した新刊書籍「できるfit ずっと使えるiPhone 16e」が5月1日に発売されました。

　ここでは著者の一人を務める石川 温氏が、実体験に基づく「指紋認証の呪縛（？）」を実感したエピソードを語ってもらいました。

母親のiPhone SEが緊急事態！　急きょiPhone 16eに乗り換えることになったが……

　子供を寝かしつけたあと、iPhoneの着信音が鳴った。画面を見ると、実家の固定電話の番号だ。「もしや、何かあったのか」と一瞬、不安な気持ちになったが、出てみたら声のトーンがいつも通りの母親であった。

　「iPhoneが充電できなくなっちゃって、バッテリーも切れちゃった。なんとかならないかしら」

　実家に暮らす75歳の母親には、子供が生まれた8年前からスマホを持たせている。当時はAndroidであったが、2020年にはiPhone SE（第2世代）を買い与えた。

　iPhone SEはiPhone 16eの登場と共に終売となってしまった。iPhone SEは4.7インチというコンパクトなサイズ感と指紋認証によるロック解除ということで、根強い人気を誇っていた。SNS上では「指紋認証が無くなるのは困る」という声が上がっていた。

　操作が心許ないシニア層にとっても、ボタンをしっかりと押してロックを解除する指紋認証のほうが「使いやすい」という意見もあった。

Touch ID対応のホームボタンを搭載していたiPhone SE（画像はiPhone SE 第3世代）

　今回の「できるfit iPhone 16e」を執筆するにあたり、「うちの母親もいずれiPhone SEの指紋認証を卒業させなくてはいけない」なんて思っていたら、タイミング良く、母親のiPhone SEがおかしくなった。

　電話のあと、すぐさまアップルのオンラインストアでiPhone 16e 128GBモデルを購入。翌日、新宿店でピックアップして、実家に向かった。

　確かに母親のiPhone SEはうんともすんとも動かない。Lightningケーブルを挿入すると、カチッとハマるわけでもなく、奥まで差し込まれた感じがない。iPhone 16eにデータを移したり、eSIMを移行させるには、iPhone SEが起動し、認証のためのSMSを受け取る必要がある。

　しばらく、ワイヤレス充電を試みるも、バッテリーが空っぽになっているためか、ちっとも起動する様子がない。

　ダメ元で、Lightning端子部分にSIMピンを突っ込み、こちょこちょしてみた。すると、何やらゴミっぽいものがパラパラと落ちてきた。「これはもしや」としばらくゴミっぽいものをかき出して、Lightningケーブルを挿してみた。すると画面が反応し、なんと充電が始まったではないか。

　iPhone SEは壊れていたのではなく、端子部分にゴミが詰まっていただけだった。

　ただ、すでにiPhone 16eは購入してしまっている。このままiPhone 16eを持ち帰ることも考えたが、なんだが母親が物欲しそうな目をしている。

　せっかくなので、初期設定を行い、データを移行して、新たにeSIMをダウンロード。無事に75歳の母親はiPhone 16eデビューすることができた。

指紋認証に慣れ切ったところに顔認証のFace IDは不安では!?　という懸念はどこへやら……

　当初、「いまのiPhoneですら使えこなせていないのだから、新しいiPhoneなんて無理」と遠慮気味だった母親であったが、画面が大きく、美しいiPhone 16eはすぐに気に入ったようだ。

　指紋認証から顔認証となり、画面のスワイプする回数も増えたが面倒に感じている様子はない。特に自分の好きな機能を割り振れる「アクションボタン」がお気に入りのようで、どの機能を割り当てようか、悩んでいたのが印象的であった。

　これまで「シニア層には指紋認証だからこそiPhone SEを残すべき」なんて声もあったようだが、iPhone 16eで何ら問題はないようだ。