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「誰でも充電できる、安心できる場所をつくる」、アンカーがカフェを始める理由

 スマートフォンなどの充電器をはじめ、家電製品を手掛けるアンカーが、日本での存在感を徐々に高めている。新製品発表会「Anker Power Conference 2025 Spring」のなかで同社のビジネスの近況が語られたほか、飲食事業に参入することが明かされた。

アンカー・ジャパン 代表取締役CEO 猿渡歩氏

成長続くアンカー、その理由

 発表会に登壇した、アンカー・ジャパン 代表取締役CEOの猿渡歩氏は、その好調ぶりについて話した。同社は2013年に創業。直近3年で着実に売上を伸ばしつつある。2022年に350億円だった売上は、2023年には494億円に達した。その後2024年には728億円と前年比で47%ほども成長している。

 猿渡氏は、成長の背景に展開商品の幅を広げたことがあると話した。「充電製品はもちろん、イヤホン、プロジェクター、ポータブル電源、ロボット掃除機などほぼ全てのカテゴリーで急速に成長した」という。特に完全ワイヤレスイヤホンは、同社の調べで1月~3月の販売数量1位を獲得したという。ベストセラーモデルの「Soundcore Liberty 4」は国内累計150万台を売り上げた。

 加えて、販路の拡大もまた同社の成長に貢献した。創業当初、アマゾンのみだった販路は公式を含む各種ECに拡大。公式アプリでも製品を購入できるほか、実店舗での販売拡大にも力を注いでいる。

 東京都渋谷区には、2023年に旗艦店と位置づける店舗がオープン。その後も商業施設などでアンカー製品を手に取れる店舗の展開が進んでいるほか、タクシーへの充電器設置やホテルとのコラボレーションなど、実際にアンカー製品に触れられる環境が広まりつつある。

アンカーを体験できるカフェ

 「製品そのものだけではなく、その先の安心・快適なスマートな生活を届けたい」と話す猿渡氏。その一環として、飲食事業に参入することが明かされた。5月24日に東京都港区汐留に1号店の「Anker Store & Cafe 汐留」がオープンする。Anker Storeが併設されており、製品を手にとって購入できる。

 店内全席にスマートフォンを急速充電できるUSB Type-CケーブルやLightningケーブルが設置されるほか、ワイヤレス充電機能を備えたテーブルで食事中や外出中のスキマ時間に充電できる環境を提供する。打ち合わせ用の個室も4つ設けられる。Anker Japan公式アプリからモバイルオーダーやミーテングルームの予約にも対応する。

店内で提供されるカレーとコーヒー(試食版)

 カフェメニューには、オリジナルのカレーやサンドイッチ、コーヒーに加えてオリジナルビール「Anker 休息充電エール」をはじめとしたアルコール類も提供する。メニューは「Charge」をコンセプトにオリジナル開発。カレーはスパイスから調合した。チキンカレーやバターチキンカレー、ハムサンド、エッグサンド、ライスヌードルなどが楽しめる。1000円を超えるメニューはなく、コーヒーも350円~と立ち寄りやすさを重視した。

 猿渡氏は「カフェは充電のニーズが高いものの、満足に充電できるカフェは少ない」と指摘する。そのうえで「カフェは誰でも気軽に訪れられる。『ここでなら充電できる』『ここなら安心できる』と思ってもらえる場所をアンカーがつくりたい」と、新規出店にかける思いを語った。店舗だけでは、購入の意思がある人の来店が多くなるが、カフェというかたちにすることでアンカー製品へのタッチポイントの拡大を見込む。

 「Anker Store & Cafe 汐留」の所在地は東京都港区東新橋1丁目8-8 カレッタ汐留 B2F。営業時間は平日8時~21時。土日祝日は9時~21時。5月24日に営業をスタートする。