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「auスターリンクダイレクト」で山岳遭難の救助をスピードアップ、実証実験に成功

 KDDIは、ヤマレコ、長野県警察本部は、スマートフォンが衛星と直接接続する「au Starlink Direct」を活用し、山間部での救助の初動時間を大幅に削減する実証実験に成功した。

実証実験の概要

 実証実験では、山間部の圏外エリアにおける遭難者が、「au Starlink Direct」を使って「ヤマレコ」を通じて救助要請および遭難状況を、遭難者家族および遭難者情報照会システムにリアルタイムに共有した。

 これにより、家族から警察への通報に加えて、警察での遭難者情報照会システムを通じた迅速な状況確認が可能となり、従来は数日から数十日を要した救助初動までの所要時間を、30分以内へと大幅に削減した。

 KDDIとヤマレコは、実証実験の成果を活かして2025年夏以降の本格運用を目指す。

実証実験の内容

 実証実験では、地上の携帯電話基地局のネットワークが圏外となる場所でも、衛星とスマートフォンが直接接続される「au Starlink Direcet」により、電波が届かない登山道から「ヤマレコ」アプリを通じて位置情報や遭難状況をメッセージで送信できることが確認された。

 さらに、遭難者から送られた状況を遭難者情報照会システム「SAGASU(サガス)」に連携し、家族へ能動的なメッセージ通知が行えることが確認された。KDDIによると、圏外から衛星とスマートフォンの直接通信を介して情報を登録先へ転送する仕組みについて、特許を取得済みという。

 メッセージ通知が届いた家族が警察へ通報を行い、警察が位置情報・負傷状態・装備・保険加入有無・登山ルートなどを「SAGASU」で把握するとともに、家族からの申告内容を聞き取りすることで、山岳遭難救助隊による救助の初動までの時間を大幅に削減した。