レビュー
「HUAWEI WATCH」に追加された心電図機能を使ってみた
2025年2月21日 00:00
著しい進化を続けるスマートウォッチ。近年、メーカー各社が特に力を入れているのがヘルスケア機能。これから重視される機能として注目したいのが心電図(ECG)機能だ。これまで、日本で管理医療機器として承認された心電図機能を搭載するのはApple Watch(Series 4以降とUltra)だけだったが、HUAWEI WATCHが追随した。
2024年10月に発売された「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」と、2025年2月に一般発売される「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」が対応。今後、ハイエンドモデルを中心に対応機種は増える見通しだ。まずは、両モデルの心電図機能を試してみた。
HUAWEI WATCH GT 5 Proで心電図を測定
HUAWEI WATCH GT 5 Proは、多機能でデザインにもこだわった「HUAWEI WATCH GT」シリーズの最新フラッグシップだ。購入した状態では「心電図」アプリは表示されない。機能は実装されているのだが、発売時には医療機器の承認が取れていなかったため、使えないようになっているわけだ。
HUAWEI WATCH GT 5 Proで心電図を取るには、スマートフォンにインストールして使う「HUAWEI Health」アプリを最新版にアップデートする必要がある。筆者はiPhone 16 Proと接続して使っているが、「HUAWEI Health」アプリを開いて、「デバイス」→「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」に進み、「ファームウェア更新」をタップした。ファームウェアを更新すると、画面に「心電図」という項目が追加された。これをタップして、案内に従ってアクティベートすることで、ウォッチのアプリ一覧画面に「心電図」のアイコンが追加された。
Androidと接続している場合も手順は同じようだ。ただし、筆者の知人がアップデートしたときは、すぐには「心電図」アプリが表示されず、ウォッチを再起動したら表示されたと聞いた。スムーズに同期されない場合は、再起動を試してみるといいだろう。
ウォッチで「心電図」アプリを起動すると、どちらの手首で測定するかの設定に進み、測定方法のガイドも表示された。測定方法は非常に簡単。ウォッチを着けている腕をテーブルや膝の上に水平に置き、ウォッチの裏側が肌に接している状態で、人差し指をそっと側面の下ボタンに当てるだけだ。押し込むのではなく、軽く触れた状態を維持する。下ボタンには電極が搭載されており、電気信号を読み取る仕組みだ。
測定時間は約30秒。画面にカウントダウン表示されるので、それを眺めていれば、あっという間に終了する。じっとしているのが苦になる時間ではない。簡単に習慣づけられるだろう。
HUAWEI WATCH D2で心電図を測定
もう一つの心電図機能の対応機種、HUAWEI WATCH D2は血圧計を搭載しているスマートウォッチだ。血圧計も日本の管理医療機器として承認されており、自動血圧モニタリングという新機能も備えている。2024年12月6日に発表され、クラウドファンディングサイト「GRENN FUNDING」で支援受付が始まったが、その際には、心電図機能の搭載は発表されていなかった。それから2週間後の12月20日に対応が発表され、日本で血圧と心電図を測れる唯一無二のスマートウォッチとなったわけだ。
なお、「GRENN FUNDING」で支援した場合も、2月13日からの一般発売で購入する場合も、ウォッチには「心電図」アプリがプリインストールされている。「HUAWEI Health」アプリをアップデートする必要はない。
測定方法はHUAWEI WATCH GT 5 Proと全く同じ。ウォッチが水平になる場所で、下ボタン(電極)に指を当てて約30秒間静止すると結果が表示される。
HUAWEI WATCHの心電図機能でわかることは?
HUAWEI WATCHの心電図機能では、心房細動の兆候を調べることができる。測定結果は「洞調律」「心房細動」「心拍数が110より上」「心拍数が50より下」「判定不能」のいずれかで表示される。
筆者は両モデルを1か月ほど付け替えながら使っている。心電図はほぼ毎日測定しているが、2回だけ「判定不能」となったが、その他は「洞調律」のみ。洞調律は心房細動の兆候が見られず、心臓が正常なリズムで動いている状態を指す。おそらく、多くの場合「洞調律」と表示され、それ以外の結果を見ることがない人もいるはずだ。
「心房細動」と表示された場合は要注意。心房細動は、心房という心臓内の部屋が十分な収縮をせず、痙攣するように細かく震える状態を指す。脈のリズムが不規則になる不整脈の一種だ。この兆候が検出された場合はたとえ自覚症状がなくても、病院で診断を受けるべきだろう。
心電図を取る際は、同時に心拍数も測定される。心拍数が110以上もしくは50以下だった場合は、その結果が表示される。何かしらの要因で測定に失敗した場合は「判定不能」と表示される。いずれの場合も心電図は記録される。
ウォッチで測定した結果は「HUAWEI Health」アプリに同期され、蓄積される。グラフ状に記録される心電図を見ることができ、PDFの「心電図レポート」として共有したり、プリントしたりすることもできる。
なお、心電図を取った後に、「胸の圧迫感」「胸の痛み」「不安」「息切れ」「めまい」といった症状を記録することができるが、「HUAWEI Health」アプリで後から記入したり、変更したりすることもできる。
あったほうが安心の心電図機能。どちらを選ぶべき?
心臓や循環器に疾患を持つ人を除けば、日常的に心電図を取る人は少ないだろう。おそらく「年に1回の健康診断の時だけ」という人が圧倒的に多いだろう。スマートウォッチで手軽に測定できることで、心房細動の早期発見につながり、ほかの病気の予防にもつながる。ないよりはあったほうがいい機能で、とりわけ中高年世代は重視すべき機能だろう。
心電図が目当てでHUAWEI WATCHを購入する場合、どちらを選ぶべきか? 両モデルはそれぞれ個性が異なるので、選ぶのはさほど難しくはない。
HUAWEI WATCH GT 5 Proは、ヘルスケア機能だけでなく、スポーツ機能も充実したオールラウンダーのスマートウォッチだ。特にゴルフ機能に優位性があり、国内2300以上のゴルフ場のマップをダウンロードして、スコアアップのための多彩なナビゲーション機能を利用できる。精度の高い位置情報システムを搭載し、ランニング機能が充実していることも利点。水深40mまでのフリーダイビングにも対応している。
46mmモデルと42mmモデルがあり、46mmモデルは通常使用で約14日間、ヘヴィユースでも約9日間という電池持ちを実現している。電池持ちの長さはApple Watchに対する優位性とも言える。スマートウォッチとしての総合的な使い勝手やスポーツ機能を重視するなら、HUAWEI WATCH GT 5 Proを選ぶのが得策だ。
一方、HUAWEI WATCH D2は、製品名になっているように「ウェアラブル血圧計」として購入しても満足できるスマートウォッチだ。2024年6月に発売された「HUAWEI WATCH D」の後継モデルなのだが、ディスプレイが約1.64インチから約1.82インチへと大きくなったが、逆に本体サイズは小さく軽くなり、血圧を測定するためのカフ(エアーバッグ)が付いたベルトも細くなった。常時腕に巻くウォッチとして違和感ないサイズとデザインに仕上がっている。血圧の自動モニタリング機能によって、日中の活動時や夜の睡眠時の血圧も測定できるようになった。高血圧症や基礎疾患を持つ人にとっては役立つ機能で、健康に留意しなければならない人は、こちらを選ぶのが正解だろう。
バッテリー持続は通常使用で最大6日、自動血圧測定を有効にすると最大1日と、HUAWEI WATCH GT 5 Proよりは短い。しかし、筆者が実際に24時間の自動血圧モニタリングを試してみたところ、50%以上の電池が残った。自動測定の間隔などの設定や使い方によっては、さらに長い電池持ちを見込めるだろう。
自分の目的や使い方に合った機種を選ぼう。