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KDDI新サービス発表会、料金値上げに松田社長「好循環のため」と理解を求める

 KDDIは7日、新サービス発表会を開催し、auやUQ mobileの新料金プランや新サービス、サービス内容の拡充などを発表した。発表会には、4月に代表取締役社長 CEOに就任した松田浩路氏が登壇し、Starlinkとの直接通信サービス「au Starlink Direct」の現況や、今後実施される料金改定についても説明した。

代表取締役社長 CEOの松田浩路氏

1日4万人が利用する「au Starlink Direct」

 Starlinkの通信衛星とスマートフォンが直接通信する「au Starlink Direct」が4月10日に開始された。松田氏は、4月10日~24日の利用状況を「(サービス開始)当初は、1日数千人の利用だったが、ゴールデンウィークに入り、1日の利用が4万人近くまでぐっと伸びた」とコメント。山間部や基地局が建設しにくい国立公園、離島などでの利用が確認され「すでに多くのユーザーが“圏外”から開放されている」と滑り出しに自信を見せる。

 同サービスについては、6月3日にユーザーが交流できる専用サイトが開設されるほか、4日から「Google Pixel 7/8シリーズ」などが対象機種に追加される。

 また、同サービス用のSIM/eSIMを開発し、新サービスとして5月7日から対象のau回線を契約していない(UQ mobile、povoを含む)ユーザー向けにサービスを開始する(月額1650円)。

新サービスと既存プランの料金改定

 松田氏は「おかげさまで、今や日本は世界に誇れるネットワーク品質を実現し、auでは“つながる体感”の世界評価ナンバーワンを実現できた。これからのAI時代もトラフィックの爆発的な増加に対して、引き続きつながりやすさを提供し、続けることが私たちの使命」と言及。高い通信品質は「過去に投資し種をまいたものが今“芽”を出している」とし、今後これを継続していくために、auとUQ mobileで料金改定を実施すると明らかにした。

 料金改定では、新しい料金プランの導入や、既存プランの値上げなどが、6月以降順次実施される。松田氏は、料金改定により「通信の高度化やAI、エネルギー分野などの新技術に投資し、好循環を実現していく」と、未来のための投資に理解を求めた。

auの新プランは「バリューリンクプラン」

 6月3日から提供を開始する新プラン「auバリューリンクプラン」(月額8008円)は、3つの通信サービスと2つの付加サービスをセットにしたプラン。プランには、容量無制限のデータ通信(特定条件での速度制限あり、テザリングなどが合計60GB/月まで)と、衛星通信au Starlink Directが含まれる。

 また、優先的に通信リソースを割り当てる「au 5G Fast Lane」が利用できる。これは、一般ユーザーと比較して相対的に多くの無線リソースを割り当てるもので、混雑時にはより快適に通信ができると取締役執行役員常務 パーソナル事業本部長の竹澤浩氏は話す。

取締役執行役員常務 パーソナル事業本部長の竹澤浩氏

 加えて、海外で容量無制限のデータ通信ができる「au海外放題」が、1カ月あたり合計1万8000円までを上限として無料で利用できる。たとえば、事前予約なし(1200円/24時間)の場合は15日分、毎月無料で利用できる。事前予約した場合は、事前予約時の価格(800円/24時間または1000円/24時間)で計算される。

 付加サービスでは、ネットフリックスやApple Musicなど対象サービスの利用で、最大20%ポイント還元される「サブスクぷらすポイント」と「Pontaパス」が含まれる。

 サブスクリプションサービスが最初から含まれない料金プランを設けた意義について竹澤氏は「通信の力をベースに価値を上げていきたいという想いと、多様化しているユーザーの実感価値に今までと違った形で応えたい」とし、既存の「使い放題MAX+」と並行して提供していくとした。

 「auバリューリンクプラン」の料金は、月額8008円。家族割プラスやauスマートバリュー、au PAYカードお支払い割が利用でき、これらを含めると月額5478円で利用できる。

 また、auマネ活特典が適用される「auマネ活バリューリンクプラン」も月額9328円で提供される。こちらは、auスマートバリューの割引が適用可能で、マネ活特典によるポイント還元額を考慮した実質負担額は、月額4228円となる。

auの既存プランの料金改定

 現在提供中の料金プランについて、8月1日にサービス内容の変更と料金改定が実施される。

 たとえば、「使い放題MAX+」(マネ活プランを含む)では、au Starlink Directやau 5G Fast Lane、au海外放題の無料特典が追加される一方、月額料金は330円値上げされる。また、受付終了されている「使い放題MAX」などスマートフォンやルーター、フィーチャーフォン向けの料金プランについても、110円~330円値上げされる。

UQ mobileの「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」

 UQ mobileでは、「コミコミプランバリュー」と「トクトクプラン2」が6月3日に提供が開始される。

 「コミコミプランバリュー」は、月額3828円で月間データ容量35GBの料金プラン。1回あたり10分以内の国内通話がかけ放題となるほか、Pontaパスが含まれる。また、対象のサブスクリプションサービス利用時に最大20%ポイント還元されるサブスクぷらすポイントが適用される。

 「トクトクプラン2」は、月額4048円で月間データ容量30GBの料金プラン。月のデータ利用量が5GB以下の場合は料金を1100円割り引くほか、au PAYカード支払い時や固定回線のセット、家族割引などが利用できる。

 どちらのプランも、au Starlink Directが月額550円で利用できる。

StarlinkのユースケースとPontaパス

法人からも引き合いが多いStarlink Direct

 空が見えればつながるStarlinkと、スマートフォンだけで直接通信できるau Starlink Direct。企業からは、災害機器管理や山間部など不感知エリアの連絡手段、DXやIoTなどの要望が寄せられている。

 たとえば、漁業を営むユーザーには陸から離れた会場で家族とやりとりできる安心感を提供していたり、海や山に関わるユーザーにリアルタイムの気象情報を届けられたり、さまざまなシーンで役立てられているという。

Pontaパスの機能拡充

 新プランの多くにバンドルされるサブスクリプションプラン「Pontaパス」(月額548円)では、6月以降順次、特典の内容が拡充される。

 パーソナル事業本部 マーケティング本部 サービス推進部 特典企画グループの木村宏子氏は、「ローソンとのパートナーシップ強化による特典強化により、リニューアル前と比較して加入数は1.6倍、アクティブユーザー数は1.4倍、ローソン特典の利用数は2.9倍に増加した」と説明。また、ローソン特典の強化をきっかけにローソンへの来店が増えたというユーザーの声もあるといい、6月以降にローソンを中心に特典を増強していく。毎月合計2000円分以上を増強するといい、毎月総額5000円以上がおトクになるという。

パーソナル事業本部 マーケティング本部 サービス推進部 特典企画グループの木村宏子氏

 6月から追加される特典の1つは「Pontaパス ブースト」で、ローソンや対象加盟店でのau PAY利用頻度にあわせて、ローソンで最大7%、対象加盟店で最大3.5%まで還元率が上昇する特典。同じく6月からはローソンで毎週末(金、土曜日)利用できる「おにぎり50円引きクーポン」が配布される。このほか、ローソン店内に設置のChargeSPOTでは、毎月1回30分まで無料で借りられる特典(6月~)が提供される。

 7月からは、ローソンチケットやHMVオンラインにも拡充される。たとえば、ローソンチケットでは、チケット購入手数料の優待(毎月最大495円)や、HMVオンラインでは毎月300円分のクーポンが配布される。